コロナ禍をきっかけに、世界中で非対面コミュニケーションが急速に普及しました。特に、リモートワークやオンライン会議、チャットツールが日常化し、例えば、ZoomやMicrosoft Teams、Slackなどのツールは、対面を避けて仕事を進めるための重要な手段として広まっています。これらのツールは、物理的な距離を越えてコミュニケーションを可能にし、私たちは、ビデオ会議やテキストメッセージを通じて情報共有が簡単に行えるようになりました。また、Google MeetやSkypeも、特に国際的なビジネスにおいて、非対面での会議や交流の場として定着しています。
これらのツールの普及は、特にローコンテクスト文化を持つ国々で顕著となり、典型的なローコンテクスト文化に該当するアメリカ、ドイツ、スカンジナビア諸国などの国々では、メールでのやり取りが主流となり、指示や情報が簡潔で具体的に伝えられることが求められます。アメリカの企業では、プロジェクトの進行状況や結果を報告する際に、数字やデータを使って明確に伝えることが一般的で、ドイツの企業では、決定事項を文書化し参加者全員に共有することが重視されるなど、ローコンテクスト文化の特徴となる「情報が言葉に依存し直接的で明確な表現」を重視した意思疎通が日常となっています。
一方で、日本やアラブ諸国、中国などは、ハイコンテクスト文化域に分類され、ジェスチャーや表情、沈黙といった非言語的な要素を通じて情報が伝えられる特徴があります。日本では、サザエさんの波平さんが「おーいかあさん」の一言で妻のフネさんがお茶を出すというシーンに表れるように「空気を読む」ことが重要視され、言葉にしなくても相手が何を求めているのかを察することが期待されます。例えば、ビジネスシーンでは、会議中に相手が何かを言いかけて黙った場合、その沈黙を解釈して次にどうすべきかを考えることが求められます。アラブ諸国や中国でも、会話の中でのニュアンスや文化的背景が大きな役割を果たし、中国のビジネス文化では、特に年長者や上司に対して、直接的に意見を言わず、間接的な表現や遠回しな言い回しを用いることが一般的なようです。