「海ヤカラ」事業の初期には、沖縄の海洋深層水を活用した大規模な施設設置を伴うハード事業が展開されました。しかし、沖縄特有の強力な台風が度々この海上施設を襲い、設備の維持が困難になりました。幾度も復旧を試みたものの、台風被害が大きく、ハード事業としての継続が難しいことが明らかになりました。
そのため、事業は一転して、海洋深層水を使ったソフト事業へと方向転換が図られ、深層水の特性を活かし、農業や美容、健康産業など、さまざまな分野での活用を探る研究が始まりました。これには地元の民間研究所が大きく関わり、地域資源の有効利用としてさまざまな実験や応用が行われています。
このソフト事業への転換により、施設を持たずに海洋深層水の資源価値を最大限に引き出す新しい方法が生まれました。現在、糸満市をはじめとする沖縄地域では、この海の恵みを農作物や健康飲料、化粧品などに活用し、地域産業を支える重要な資源として根付いています。
今日、海洋深層水事業は、農業や観光だけでなく、地域の健康や美容産業でも利用され、深層水の恩恵が広く浸透しています。事業開始から20年が経つ今も、地域資源を守りながら次世代に繋げていく活動として、沖縄の誇る海の恵みを支える大切なプロジェクトとして、今も当時の研究者、民間事業者によりその実験と実用化は継続されており、今からはじまる食の凍結事業にも活かしていきたいと思っています。