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インクルーシブなまちづくりを基盤に 能登半島地震後の地域を救う「コミセン」の取り組み

2024 年の能登半島地震が地域社会に与えた影響は深刻で、特に輪島市や能登町などの地
域では、住⺠の⽣活基盤が⼤きく揺らぎました。被災時、佛⼦園はすぐに⽀援ハブ機能を整
え、福祉的な⽀援活動を展開しました。この⽀援活動は、住⺠の⽣活基盤を整え、安⼼感を
取り戻すことに貢献しましたが、それだけにとどまらず、地域で⼤切に育まれてきた輪島塗
や⽼舗の事業再構築をサポートし、地元経済の再建にも繋がりました。このような取り組み
は、単なる復旧ではなく、未来に向けた「創造的復興」として、地域社会を新たな形で再⽣
させる⼒となっています。地域の特性を活かした持続可能な復興を⽬指すこれらの活動は、
地元住⺠とともに再⽣の道を歩む重要な⼀歩となっています。

能登半島地震の復興⽀援活動は、物理的なインフラの再建にとどまらず、被災者の精神的
な⽀えにも⼤きな⼒を注いでいます。特に、災害関連死を防ぐことが重要な課題として浮き
彫りになり、地域住⺠に対する親⾝な⼼のケアが求められました。地震後の不安や孤独感を
抱える⼈々に対して、精神的な⽀援を提供し、地域のつながりを強化することが、復興の⼀
環として不可⽋な要素となっています。⼼のケアには、定期的なカウンセリングやコミュニ
ティイベントが活⽤され、住⺠同⼠が⽀え合う⽂化を再⽣させる努⼒が続けられています。

また、能登半島の⾼齢化問題が復興活動においても深刻な課題となりました。特に福祉サ
ービスを受ける⾼齢者が増加し、そのニーズに応えるための福祉サービスや医療体制の充
実が求められました。医療、⾷、住環境の三つの柱において、⽣活の質を向上させる取り組
みが積極的に⾏われています。例えば、地域の医療機関との連携強化、⾷材の地産地消を推
進することで、地元住⺠の健康を守るとともに、地元産業の振興にも繋がっています。

さらに、農業や観光業といった地元産業の再⽣が急務となり、地域経済の⽴て直しには⽋
かせない部分として復活の取り組みが⾏われました。農業では、震災後に失われた農地の復
旧や、新しい栽培⽅法の導⼊が⾏われ、地域の農産物を⽀えるための取り組みが進められて
います。また、観光業では、震災前の魅⼒を取り戻すためのキャンペーンやイベントが開催
され、地域に観光客を呼び戻す活動が積極的に⾏われています。

さらに、復興⽀援の資⾦⾯では、寄付⾦や物資の提供が重要な役割を果たしています。佛
⼦園では、オンライン寄付サイトを通じて⽀援を呼びかけ、地域住⺠や⽀援者からの温かい
⽀援を集めました。こうした⽀援の資⾦は、仮設住宅の再建や医療・福祉活動に使われ、地
域の⼈々に必要なサービスを提供しています。また、⽀援物資も重要な⽀援⼿段となり、地
域住⺠の⽣活基盤の確保に寄与しました。

「NOTO, NOTTO ALONE」というメッセージは、この復興活動の象徴とも⾔える⾔葉
です。能登を忘れないでという呼びかけは、地元住⺠と共に歩んでいくという強い意志を表
現しています。このメッセージは、地域全体でのイベント発信により広まり、住⺠の⼼をひ
とつにする⼒となっています。関連死を防ぐための⼼のケアや、地域を元気にする活動が展
開され、地域社会全体が⼀丸となって復興に向かって進んでいます。

そして、インクルーシブなまちづくりの理念を基盤にした「コミセン(コミュニティセン
ター)」の設⽴は、地域社会の再⽣において極めて重要な役割を果たしています。このコン
セプトは、すべての⼈々が参加し、共に⽀え合い、地域に住む⼀⼈ひとりが持つ価値を尊重
し合うという考え⽅に基づいています。コミセンは単なる物理的な施設にとどまらず、地域
の精神的、社会的、⽂化的な活動の中⼼として機能し、住⺠の⾃⽴⽀援を促進する場です。

具体的には、地域の⾼齢者や障がいを持つ⼈々、⼦どもたち、そして働き盛りの世代など、
さまざまな背景を持つ⼈々が、互いにサポートし合い、共に⽣きる社会を作り上げるための
拠点として位置付けられています。ここでは、住⺠同⼠の交流が⽣まれ、困難な状況に直⾯
した⼈々が⼼のケアを受けながら、必要な⽀援を受け取ることができます。

コミセンが⽬指すのは、⽣活⽀援や福祉サービスの提供にとどまらず、地域住⺠が⾃ら地
域づくりに参加することを促すことです。たとえば、ボランティア活動や地域のイベント、
ワークショップなどを通じて、住⺠同⼠の連帯感が育まれ、地域全体が⼀体となって復興へ
向かう⼒強い動きが⽣まれます。また、医療、⾷、住環境の改善にも⼒を⼊れており、地域
の⽣活全般にわたる⽀援が⾏われています。

「インクルーシブなまちづくり」という理念のもとで、コミセンは全ての⼈々が無理なく
参加し、⾃⼰実現できるような環境を提供します。これにより、災害後の精神的・社会的回
復⼒が⾼まり、住⺠が⾃分たちの⼿で地域を再⽣し、未来を創り上げる⼒を培っていくこと
が可能となります。
このような復興⽀援活動は、単なる物理的な再建を超え、地域社会全体の精神的な再⽣を
含む「創造的復興」を実現しようとする取り組みとなり、⽀援ボランティアの献⾝的な⽀援
を得て、地域住⺠が⾃らの⼒で⽴ち上がり、共に未来を築いていく姿勢が、この活動におけ
る根本的な価値となっています。私たちも今年4⽉に能登半島へ渡り、⼀丸となって被災地
の復活をサポートする計画にあり、継続してかかわりながら、必要な⽀援をともに考え、沖
縄からも元気を届けていきたいと思っています。
※注釈1:災害関連死(さいがいかんれんし)とは、⾃然災害や事故によって直接的に命を
落としたわけではないものの、災害後の避難⽣活や精神的ストレス、⽣活環境の悪化などが
原因で死亡したケースを指します。特に⾼齢者に多く⾒られる現象であり、災害発⽣後の⻑
期的な健康問題や社会的孤⽴が影響を与えることが多いため、適切な⼼のケアや⽀援が重
要とされています。

社会福祉法⼈ 佛⼦園
https://bussien.com/#/
⼀般社団法⼈ ⽣涯活躍のまち推進協議会
http://shougaikatsuyaku.town/

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