農業用ドローンとは?
農業用ドローンとは、文字通り「農業」において使用されるドローンです。
近年、農業従事者は減少し続けており、農業者の平均年齢は66.6歳(平成30年)とほかの産業と比べても顕著に高齢化しています。高齢化しているにも関わらず、1農業者に作業を依存するケースが多く、今後国内の農業を持続させることが難しくなってきています。
そこで、政府は農業に「先端技術」を導入することを決断。このうちの1つが「農業用ドローン」の導入というわけです。熟練農業者の作業負担軽減をはじめ、若い人が少しでも農業に興味を持ってもらえるよう「魅力ある農業を広めること」の実現が日本においては必要不可欠です。
生産性の向上や栽培技術のデータ管理など若い人が農業に抱くイメージを一新させるべく、平成31年3月18日に農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会が設立されました。
農業用ドローンのメリット
農業用ドローンの導入はあらゆる面のメリットがあります。
- コストダウン
- 作業の向上
- 労働力の軽減
今後、国内の農業においてなくてはならないものになっていくことでしょう。
農薬散布以外の活用方法はある?

農業用ドローンは農薬散布以外にも活用されています。
- データの「見える化」によるセンシング農業
- 肥料散布
- 播種(種まき)
- 害獣対策
データの「見える化」によるセンシング農業
従来の農業では熟練の経験から行われていたため、作物の生育や収穫量にバラつきがありました。
しかし、農業用ドローンを活用し空撮画像をもとに作物の生育状況を「見える化」することにより、作物の生育・収穫量のバラつきを最小限にすることが可能となりました。
データ管理ができるようになったため、成長が遅い作物にピンポイントで肥料を与えることもできるようになり、成長のムラを無くすことにも成功。
また、成長状況をデータとして分析することで翌年以降の土づくりにも活用できます。
肥料散布

農薬散布と同様、肥料も農業用ドローンを活用することができます。
とくに効力を発揮するのは人力作業するのが大変な場所、いわゆる傾斜がキツイ場所です。人が立つのもやっとの場所での作業は負担もかかりますし、何より危険です。
そのような場所でも、農業用ドローンを活用すれば作業効率の向上につながり、労働力の軽減になります。
播種(種まき)
農業用ドローンを活用した播種(種まき)もすでに行われています。
労働力の軽減や時間短縮にはつながるものの、課題として挙げられているのが「均一にまくこと」。
手作業の播種に比べると均一にまけないことが今後の課題となっています。
害獣対策
農業と切り離せないのが害獣による農作物被害。平成30年度の試算では、国内の害獣被害総額は156億円ともいわれています。
しかし、農業用ドローンを活用すれば「監視」「追い払う」ことが可能です。
ドローンのなかにはサーマルカメラと呼ばれる赤外線カメラを搭載しているものもあり、日が落ちた夕方以降でも害獣をモニタリングすることができます。
また、超音波や音響装置を搭載できるものあるため、害獣に対して威嚇することができます。
これらすべてをデータとして活用すれば害獣の生態系や行動範囲などが把握できるようになり、ケースに合わせた対応が行えるようになります。
農業用ドローンの価格

散布用の農業ドローンであれば100万円から300万円が一般的な価格となっています。一見すると高額に思える価格ですが、無人ヘリを購入するとなると1,000万円以上かかるためコストダウンは間違いありません。
メンテナンス費用なども年間通じてかかりますが、労働力や時間短縮、さらに生産性の向上が見込めることを考えれば購入することをおすすめします。
ただし、最近の業務用ドローンのレンタルもされているので、一時的に使うのであればそちらを活用するのが良いでしょう。